水を含んだ和紙に置かれた色はまるで命があるかのように広がり
その動きを感じながら、思いのままに筆をすべらしていくと
色と色が出会い、混じり合い、新たが生まれていきます。
和紙の種類や含んだ水の量でその動きは変わり、
また、その日の気温や湿度で乾くまでの時間は異なり、色は変化し続けます。
様々な要素に影響を受けながら姿を現わす色彩は様々、そしてその日、その時限りのものです。
和紙(木)と水の流れ、そして色の輝き(光)。
3つのエネルギーが織りなす色宇宙。
遊ぶがごとく色を重ねることで生まれる作品を「彩遊和紙」と名付けました。
和紙のもつやわらかさや温もり、風合いは、どこか懐かしく大切なものを思い出させてくれるよう。
彩りとともに、そこに浮かぶ風景や音、言葉を味わってもらえたら嬉しく思います。
彩遊和紙作品(部分)
「自分の色を表してみたい」
そう思ったことが「彩遊和紙」のはじまりです。
色彩に関わる仕事を長くしていましたが、取引様の要望にあわせてアドバイスをすることが主流で
自分が感じているものを色彩で表現する機会はあまりありませんでした。
2007年、偶然知った「ヒーリングカラーアート」をみた時、絵を描いたりするのは苦手だけれど、
色彩で思うままに表現してみたい!と感じて教室に通いました。
先生は和紙に色付けをした後に、そこから「見えてくる」風景やイメージをパステルや絵の具を使って描いていましたが、
私は「色だけで表現したい」と伝えたところ、それを快く受け入れてくださり、他の生徒さんが描き方を学んでいる横で
一人ひたすら和紙に色塗りをするという日々。
そんな私を先生は温かく見守り、アドアイスや表現のアイデアをいただいたりしました。
先生の元を離れたあとは和紙の種類をあれこれと試したり、水の使い方を工夫したり、色付けした和紙を重ね合わせたりするなど、
今もなお試行錯誤しながらの日々です。
そんな中から、手のひらにのる小さな「まるる。」が生まれました。
皆さんの遊び心で暮らしの中にちょっとした彩りを添えることができるよう想いを込めました。
彩遊和紙と名付けた作品が、皆さんの心の中にある遊び心や創造力と響き合えますように。
写真 清原真紀